有峰湖周辺(富山/岐阜) 横岳(1622.9m) 2018年11月3日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:17 ゲート−−7:00 大多和廃村−−7:33 尾根取付−−7:56 沢に入る−−8:34 滝(標高1350m)−−8:39 滝(標高1390m)−−8:45 滝(標高1410m)−−8:46 左の沢に入る(ミス)−−8:56 沢の源頭から根曲がり竹藪に突入(標高1460m)−−9:39 県境−−9:53 横岳(休憩) 10:24−−10:32 県境を離れる−−10:51 往路に合流−−10:56 沢の本流に合流−−11:29 沢から離れる−−11:42 林道−−12:04 大多和廃村−−12:39 ゲート

場所富山県富山市(旧大山町)/岐阜県飛騨市(旧神岡町)
年月日2018年11月3日 日帰り
天候晴時々曇
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場ゲート前に数台駐車可
登山道の有無林道以外は無し
籔の有無主に根曲がり竹。特に県境稜線上は灌木も混じり非常に強固。上部は沢以外は歩行スピードが非常に低下する
危険個所の有無無し。沢の滝は小規模で左右から巻ける
山頂の展望無し
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメントネットの記録を参考に沢ルートで無雪期に挑戦。結果としては登れたが沢以外は根曲がり竹の藪でかなり厳しく、常識的に残雪期に登るのが無難。特に県境尾根の根曲がり竹藪は濃く、当初計画の高幡山への縦走は諦めざるを得なかった。翌日から妙なところが筋肉痛に。大多和廃村は車で通っている老夫婦がいた



ゲート前に駐車 林道脇には距離表示あり(起点は大多和峠)
林道上部の神社。帰りに大多和集落住人がいた 大多和集落。今はほぼ廃村
最上部の1軒だけ人がいたが常駐ではない 伐採された杉で塞がれている
集落を抜けるとまたゲートあり(施錠無し) ガレた尾根が今回歩くルート
ガレ直下の林道。春よりも良くなっている 西には白い白山
尾根突端が踏跡(廃道)入口 所々に目印あり
廃道は主に尾根東を巻いている 尾根直上のガレの縁。道はない
ガレを抜けると根曲がり竹の藪 尾根直上は灌木藪も多い
忘れた頃に目印登場 接近した左の沢に乗り換える
沢の入口の目印 水量少なく平易な沢
この倒木は下を通過。水は枯れている こちらは上を乗り越えた
標高1280m。流れが復活 標高1350m。小さな滝が登場
滝の右岸にトラロープあり トラロープの支点
標高1390m。小さな滝が登場。左岸を登った 標高1410mの支流。ミスってここを登ることに
支流は急で直接登れないので本流を遡上
滝が登場し、右岸にトラロープあり
滝を登り終えた上流側
右岸の急斜面をよじ登る 根曲がり竹の小尾根をトラバース
目的の沢に入る(ルートミス) ルートミスに気付き東へトラバース気味に
沢の源頭から濃い根曲がり竹藪に突入 このレベルの根曲がり竹が延々と続く
当初計画の沢が見えたが急すぎて下れず 小尾根を登り続ける
標高1530m小ピーク 標高1590m。ほぼ県境稜線に乗る
県境稜線は灌木も混じり最悪の藪 僅かに雪が残る
根曲がり竹だけでも濃い こんな藪の中に境界標識
標高1610m。山頂まですぐだが遅々として進まない 横岳山頂の三角点
結び目だけが残ったピンクリボン 帰りに赤テープを残した
山頂東側から見た東〜南の展望(クリックで拡大)
東へ続く県境稜線 県境稜線を離れて南へ
谷地形に入ると藪が薄まる箇所も でもまだまだ根曲がり竹から解放されない
往路にも通った源頭 本流に達する
流れの右側を下った 標高1350mの滝を迂回
沢から離れて尾根に乗る 標高1130m付近
林道到着 林道周辺は紅葉のピーク
ゲート到着 重力波望遠鏡「かぐら」に続く誘導トンネル
その名も「かぐらトンネル」


 今年4月に飛騨側跡津川沿いの林道から大多和峠経由で東笠山、西笠山を往復したが、その時に計画していた横岳は時間切れで足を伸ばせなかった。来年の残雪期まで待ってもよかったのだが、ネット検索の結果、1件だけ無雪期の記録があった。正確には横岳山頂ではなく東側の県境上にある祠への記録であったが、沢を登ればほぼ藪が無いこと、その沢はそれほど難しくないことが分かり、残雪期でも行けそうな感触を得た。ただし、記録によると県境稜線の藪は強力とのことで、山頂に最も近い沢を攻めるのが得策だろう。この藪の状況を知る前は帰りは横岳から高幡山まで縦走しゲートへ戻る予定だったが、無雪期に実行可能な計画なのか怪しくなってきた。現地で状況を見て判断しよう。

 今週末は久しぶりの好天が予想されたため時間がかかり藪もある横岳に決めて西へ向かう。久しぶりにETCカードを取り出し安房トンネルで使用する。そろそろ安房峠は冬期通行止めだろうか。夜間の移動のため交通量は少なく、起点となる跡津川沿いの県道ゲートまで3時間強であった。今夜はここで車中泊。当然ながら他に車が上がってくることはなかった。

 翌朝、軽く朝飯を食って出発。今回は時間がかかりそうなので久しぶりに水と飯を持った。最初の1時間は林道歩きなので濡れる心配はないが、藪に突入する頃には日が高くなって藪が乾いていることを祈ろう。相変わらず林道は普通車でも走行は問題ないレベルで、この夏の台風の影響で沢から土砂が押し出した場所があったが片づけられていた。ほぼ廃村化している大多和集落のための整備であろう。その多大和集落の一番上部の民家からラジオの音が漏れていた。やはり春〜秋の間だけ元住人が畑仕事や山仕事を行っているようだ。電線が通っているが電気が来ているのかは分からない。もちろん携帯電話は繋がらないだろうし、自給自足に近い生活だろう。

 集落を通過するとゲートがあるのは前回来たときに知っているが、ゲート前に丸太が置いてありこの先の林道は通行止め状態で、ゲートの扉も閉まっていた(ただし施錠無し)。春先よりもこの先の林道は荒れているのかもしれないが、歩けないことはないだろう。ところが歩いてみても春先より荒れた感じはなく、大崩壊斜面直下の林道は逆に春先より整備された感があった。

 この大崩壊斜面を通過した尾根突端が取り付きの尾根である。ネットの記録では踏跡があるらしかったが、確かに僅かにそれらしき筋と古びたピンクリボンがあった。この付近の植生はブナ林で下藪は薄く歩きやすい。ただし、道筋は非常に薄く今では完全に廃道化してしまっている。周囲と比較して何となく藪が薄い個所が道の痕跡で、治面付近をよく見ると矮小潅木を根元から刈った切り株が点在しているのだけが道があった証拠であった。

 崖の縁の尾根直上付近は潅木と根曲がり竹が煩く歩きにくいが、この付近は尾根の東側に昔の道があったらしい。所々でその痕跡を追えるがほとんど分からない場所が多く、尾根直上に戻ると藪に突入というパターンが何度か続いた。大きく迂回しても藪が薄い個所を通った方が楽だったと思う(帰りはそうした)。

 やがて左手に沢が登場、ネットの記録によればこの沢を遡上するはずで目印もあるという。確かに沢に入る個所に古いピンクリボンがあり、地形図を見てもここで間違いなさそうだ。水量は少なくどこでも自由に左右に渡れるが、11月の渇水期ということもあろう。朝の冷え込みで石表面が凍っていないか心配だったが氷は全く無しで、安心して歩けそうだ。

 沢の様相は最初は穏やかで沢登りというよりも河原歩きだ。地形図を見ると最初から沢が2分岐するが左が正解。現場を歩くと普通に河原を歩けば自然に左の沢を遡上することになるので大丈夫。右の沢は狭く浅く植生があり、合流点がはっきりしなかった。

 沢の水はすぐに伏流化して乾いた河原を適当に歩きやすいところを繋いで登っていく。水が無いと更に歩きやすくなって助かる。たまにでかい倒木があって乗り越えたり潜ったりするが、これも今年の台風の影響だろうか? でも沢の様子は全体的に見ても大水が出た形跡は皆無でどこもかしこも穏やかで、大規模に削られたりデブリのような土砂の押し出しは見られなかった。

 ネットの記録を見た印象では沢のあちこちに目印が有りそうだったが、実際には沢の入口にあっただけでその後は見当たらなかった。ケルンも無かったので、そもそもここを歩く人が非常に少ないらしい。まあ、当然か。滝の高巻用のトラロープがあるとも書いてあったが、まだ滝が出てこないためかここまでのところ見当たらない。でも、高度計と地形図を見る限りは目的の沢を遡上していることに間違いはない。

 標高1270mを通過すると伏流していた流れが地表に現れてきたが、相変わらず水量は細く任意の場所で右岸左岸へ渡ることが可能だ。それでも場所によっては滑って水に落ちればびしょ濡れになる程度の水はあるので、足の置き場所は慎重に決める。

 さらに上流へと遡上すると徐々に傾斜がきつくなるが、滝らしい滝は出てこずに石の積み重なった急な河原をよじ登っていく感じだ。既に沢周囲の藪は濃く、もう沢以外に突っ込むのは躊躇われる状況で、行けるところまで沢を遡上するしかない。

 標高1350m地点で最初の滝が登場。高さは4,5m程度の小さなもので、右岸の方が楽に高巻きできそうなので左斜面に取り付くとトラロープが出現。久しぶりの人工物でルートが正しいことが分かった。川岸斜面の藪は薄く大した障害にはならないが、もっと上の方は根曲がり竹っぽくかなりいやらしい感じ。この山は沢以外のルートで登ろうとすると藪漕ぎで苦労しそうだ。

 2つ目の滝は標高1390m地点。流れのすぐ左岸側の岩壁が登れそうな様子。垂直の壁ではなく階段状の細かな段差があるので手がかり足がかりにちょうどいいが、緑色の苔に覆われているのがちょっとイヤらしい。まあ、登りなら大丈夫だろうと慎重に登り、滑ることなくクリアした。念のためにお助けロープを持ってきたが、帰りもこのルートをロープ無しで下ることができた。

 このまま本流を遡上すると山頂より東側、1620m峰を越えた1580m鞍部に出てしまい、その後は県境稜線を西へ進む必要があり余分な藪漕ぎを強いられるため、標高1430m付近で左に分岐する支流へ入る計画だ。これなら山頂直下東の1590m鞍部へ出ることが可能。ただしこの支流を遡上した記録は発見できなかったので沢の様子は不明。大きな滝や滑が連続していたら私の装備では歩くのは不可能だ。まあ、行けるところまで行って、沢が無理になったら藪斜面に突入するのは想定内だが。

 標高1360mを超えると沢の傾斜は緩むが川幅が狭まってくる。高度計の表示が1430m付近で左側から小さな滝で流れが合流、どうやらこれが目的の支流らしい。しかし高さ3,4mの滝で正面から登れないし周囲も急斜面なのでもう少し上流まで溯って取り付けそうな斜面を探すことに。このすぐ上流には3つめの小さな滝が登場、右岸にトラロープが下がっているが、これのお世話になることはなく自然地形を利用してクリアする。

 滝の上流側では何とか右岸側によじ登れそうな傾斜になったので、小潅木や笹を手がかりにして強引に這い上がると根曲がり竹の歓迎を受ける。既に結構な密度で尾根を横断するような横移動はかなり苦労するが、目的の谷はこの尾根の向こう側なので藪を突破するしかない。雪の重みで下向きに斜めになった根曲がり竹をかき分けて進んでいく。

 やっと谷に降りて一安心だが、どうも地形図から読み取れる谷の地形より幅が狭く小さいような。方位磁石で方向を確認するとやや西向きであり、いよいよGPSの出番。目的の支流分岐の緯度経度を入力してあるので現在位置からの方位と距離を確認すると東へ約100mの地点と出た。地形図をよ〜く見ると計画していた沢の一本手前、標高差にして僅か10〜20m下流に別の支流があったではないか。間違いなくこれに入ってしまったようだ。素直に戻ればいいのだが、せっかく上げた標高を吐き出すのがもったいなくて再びトラバースして目的の沢を乗り移ることにしたが、周囲は濃い根曲がり竹に覆われてすんなり歩けるのは沢の中だけ。ちょうど真北に分岐する支流があったのでこれを辿り、源頭で藪に突入てからトラバースすることに。すぐに源頭部に到着(標高約1460m)、頭上を覆うような根曲がり竹のトンネルだ。真上ではなく右斜めに進んでいく。濃い藪の中では尾根直上の藪が直立した場所を漕ぐのが一番楽なのだが、横移動は非常に厳しい。先週の大前山の一番濃い根曲がり竹区間よりはマシだが、背丈を越える3m位の根曲がり竹が延々と続くのは精神力が必要。幸いにして天気がよく藪は乾いているのでビショビショ、ドロドロにならずに済んだが、大した気休めにはならない。

 どうにか尾根直上を越えて目的の谷へと下る斜面に突入、ここでも高度を損しないように斜めに下っていき、谷の様子が見えるようになると岸が切り立って下れないことが判明。仕方が無いので根曲がり竹藪のトラバースを継続だが、この濃さになると長距離のトラバースがきつい。それに見下ろす沢はどうもナメ状のようで、たとえ下ったとしても沢の中を歩けない可能性が出てきた。どこで下れるのか判断が難しく、計画を変更してここからはこのまま藪の小尾根を登ってしまうことにした。

 こうなったらできるだけ尾根直上を歩くのが藪漕ぎを楽にする唯一の手法なのでまっすぐ上方を目指し、平泳ぎの要領で根曲がり竹を両手でかき分けながら登っていく。まだ手でかき分けられるだけマシな濃さで、根曲がり竹は本当に高密度化すると手で分けられないほどになる。志賀高原の根曲がり竹はそのレベル。こうなると隙間に頭を突っ込んで肩で押し広げて通過するしかなくなる。県境に出たらそんな藪じゃないよなぁ・・・

 それまで続いた傾斜が緩んで微少ピークに到着、初めて前方の視界が開けるが、まだまだ緑色の根曲がり竹藪が続く。高度計の表示は1580m(に見えた)、しかし地形図ではその高さに等高線が広がった場所が無い。GPSの表示では山頂は真西より若干北方向。う〜ん、当初計画の沢の右岸を登っているのは間違いないはずなのだが、該当する地形が読み取れない。本当なら右手に1590m鞍部が見えるはずだがそれもない。もしかしたらGPSに横岳の緯度経度入力を誤ったか? でも高いところを目指せば山頂到着は間違いないので、とりあえずこのまま直進を続ける。下山後にGPSのトラックログを見たらこの微小ピークは1530m峰であった。なぜ現場で高度計を見誤ったのか謎だ。

 山頂まで残り150mまで接近すると根曲がり竹の中に潅木が混ざり始め、さらに厄介になってくる。根曲がり竹はかき分けられるが潅木は手で分けられる硬さではなく、上を乗り越えるが迂回するしかない。厄介なのは狭い尾根上いっぱいを塞ぐように地面すれすれから枝を横に伸ばした潅木。これを超えるのは苦労する。新潟県などでは潅木は主に落葉樹であるマンサクが中心であるが、ここでは緑の葉が茂ったイヌツゲらしきものが。これはいっそう厄介だった。後から分かったことだが藪が一段と強固になったのは県境稜線付近に達してからであった。背の高い立木はほぼ皆無で根曲がり竹と背の低い矮小潅木のみ。今年の春に東側から横岳付近を見たら真っ白だったが、高い木が皆無で低い藪は全て雪に埋もれていたからだろう。あの時なら簡単に歩けただろうに・・・。

 山頂が近づくと尾根幅が広がり傾斜が無くなって意外と広い平坦地形に変化、この地形とこの藪で三角点を見つけるのは至難の業なので、最初からGPSの助けを借りる。残距離の数値がゼロになるよう、指定された西へと根曲がり竹をかき分けていく。おそらくこの感じでは三角点周囲の刈払いもないだろう。潅木を避けて左右に進路を振りつつ進むと、根曲がり竹の向こうに三角点を発見! 意外にあっさりと見つかってしまった。地面すれすれとかではなく明瞭に頭が地面から飛び出した三角点であった。緑の苔が付着しているが、根曲がり竹の緑は地表1m以上のいちにあり、地表付近は緑色が少ないので意外と目立つのであった。周囲の低木に目印が無いか探したところ、千切れた古いピンクリボンの結び目だけが残っていた。立木が無いので残雪期に登っても山頂標識を取り付けるモノが無いので山頂標識も無いのだろう。最近は山頂に目印等を残すことはなかったが、久しぶりに赤テープを残した。地上1mくらいの枝に付けたので残雪期は雪の下だろう。

 周囲に藪が開けた場所はないので根曲がり竹に埋没しながら休憩。さすがに藪に突入してからの進行速度は激減で、突破に必要な体力も相当なものなので久しぶりに疲労感が。毎週登った今年の夏山アルプスでもこれほど疲れたことはない。あちこちを藪に引っかかれたり打ち付けたりで足と顔が傷だらけ。顔は主に笹の葉が原因。自宅に帰って風呂に入ったら脛には紫色のアザまでできていた。恐ろしや無雪期の横岳。これじゃ無雪期に挑戦するヤツがいないわけだ。当初計画の高幡山までの縦走はとても無理で、素直に往路を戻ることにした。

 帰りは藪漕ぎに関しては重力の助けがあるので体力的には楽だが、ルート判断が格段に難しくなるので登りより要注意だ。先週の教訓で今回はまともな方位磁石を持参、下りは首にかけたまま歩くことにした。ただし、GPSの表示も参考にするため右手首にGPSを装着。これで万全だ。

 下りのルートは、登りでルートミスにより通れなかった当初計画どおりの沢を下るか、それとも状態が分かっている藪尾根を下るか悩んだが、安全第一で往路を戻ることにした。多少ルートが狂っても最終的には左右どちらかの沢に入り往路の本流に合流できるので、細かなルートを気にせずに尾根を外さないことだけ考えればいいだろう。

 山頂は平坦で藪で視界ゼロなので、最初から方位磁石でしか進路決定ができない。今回は往路には1個所も目印を残していないので、時折開ける視界、地図無しGPSの往路軌跡と方位磁石がナビゲータだ。もちろん判断材料では視界が最優先。今日のように天候に恵まれた日は有視界飛行に最適だ。それに下りだと目の前の根曲がり竹は斜面の傾斜分だけ低くなり、意外と展望が得られたのだった。登りではほとんど展望が無かったのが嘘のようだ。ということは上部の根曲がり竹の背丈は場所によっては2mくらいだろうか。

 登りではどこで県境稜線に合流したのか全く分からなかったが、下りでは県境稜線から右へ逸れる個所ははっきりと分かった。地形図で見るよりも緩やかな角度で尾根が分岐していて、この藪の状態では登りだと判別できなくて当たり前だった。枝尾根に入ってからは外さないように注意しながら下るが、尾根の真ん中に潅木が居座った場所を迂回するとずれてしまったりするので要注意。残念ながらどこでも展望が得られるわけではなく、下りでも根曲がり竹に完全に埋没して前方が見えないことの方が多くなった。県境稜線の方が気象が厳しく背が低いのかもしれない。

 やがて尾根が広がり地形がはっきりしなくなり、適当に下っていくと緩やかな谷地形に入った。忘れていたが谷の中の方が藪が薄いので、安全に谷に入れるならそのまま谷を下るべき。私が入った谷は非常に浅く、流れはないし根曲がり竹も生えているが、その密度は明らかに周囲より低く歩きやすい。GPSの軌跡を見た感じでは、往路で登った沢の源頭の続きらしい。それならこのまま下って問題なかろう。

 根曲がり竹に飽き飽きしながら下っていくと、往路で見かけた段差1mくらいの枯れた滝が出現、往路はここで東斜面を登ったのだった。これで往路に乗ったのは間違いなく、このまま下れば本流合流だ。ただし本流合流点は高さ2,3mの滝で、これをどう突破するかが問題。しかし現場に出てみると滝の両側の岩壁は垂直ではないし意外と凸凹があり、どうにか下れそうだった。滝の左側をバックで慎重に下って本流に降り立った。

 あとはルートに迷う場所はないので方位磁石もGPSも出番は無い。方位磁石は収納し、GPSはザックの肩紐に場所を移す。沢歩きは石の上を歩くので意外と膝への負担があり、夏に傷めた右膝への影響があった。痛みを感じるほどではないが違和感があり、無理をすると痛みが再発する恐れがあるのでゆっくりと下った。しかし帰りは気が抜けるらしく、水量が少なくて濡れる心配がある場所は限られているのに、よりによって水が溜まった場所で足を滑らせ右足が勢いよく水中へ。深さは足首くらいですぐに足を引き上げたので右足は水没しなかったが、その勢いで跳ね上がった水で左足が濡れてしまった。ただし、この後の林道歩きの間に乾いてくれたが。コケて怪我をしないよう防水手袋を付けていたが、高度が下がると気温が上がり暑くなったのでそれも脱いだ。

 伏流化した水が再び現れれば尾根への乗り換え場所は近く、ピンクリボンが登場した場所で左岸へ上がる。相変わらず道はないが前方には緩やかに高まる尾根が見えているので間違いない。藪が薄いところを辿り林道へ到着。これでやっと藪とおさらばだ。今年登った山の中では確実に藪が最も濃かった山だった。

 大多和集落のラジオの音は消えていた。まあ、1日中ラジオを聞いているわけではないだろう。集落の中を見ると小型重機で杉の木を伐採した形跡があり、この作業で入っているようだ。たぶん雪が降る頃には下界に戻るのだろう。この住人の車は帰りにゲート手前の神社前に駐車しているところを目撃。80歳は超えているだろう、かなりの高齢の老夫婦が乗っていた。おじいさんが車を運転し、ゲートの鍵の開閉も行っていた。ゲートで少しお話をしたが、訛りが強くて分からない部分が半分程度あったが、横岳に登る人はほとんどいないらしいことは分かった。ゲート前には別に富山ナンバーの車が止まっていたが、こちらの人も同様の発言。茸取りの人かと思ったが、どうも老夫婦の関係者らしかった。

 着替えて体に付着した藪ゴミを拭き落として神岡市街地へ。その途中、前回見かけた「かぐらトンネル」の入口で写真撮影。意外にもゲートや番人らしき姿はなく無人だった。まだ建設中のはずなので工事業者の出入りがメインだと思うが、何もセキュリティーが無さそうに見えるが大丈夫だろうか。関係者以外立入禁止の看板すら見当たらなかった。トンネル内部は上り坂になっていてLED照明が続いていた。実験施設はここからどれくらい奥にあるのだろうか。この真上にある池ノ山にもいつかは登りたい。

 

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